今日はお疲れ樣 思ひ出したくもない トイレの大きな鏡を見る度に 私はきれいな 美しい 優しい女だと確認する リュックを背負ひ 垂れ下つた髮を拂ふ ああ私は美しく 人々はこの美貌と 優しさとを たたへるだらう いつものやうに——
今日はお疲れ樣 私は忘れてゐる 私は美しい しかし優しいといふ槪見は、ここでは脫捨てられる ああ、 靴下を脫いで 床に入る ああ 私は眠るのだ