蟲の聲をきく 扇風機の廻つてゐる音をきく 飛行機の音をきく 濡れた髮でブラウンの坐椅子に寄掛る
何だらうなあ この寂しさは 音が無いせゐか それともこれから仕事だからか よく分らない
觸れる人の無いからか 馳せる重みが虛しいからか
すごく たまらなく寂しい 時々吐き氣を覺えながら 私は立止る
逆に 仕事のある日でないならば 私は燈を消さうだなんて 思ひもしないだらうさ……