隣人が死んだ

今日は、隣の隣の隣の人が死んだ
昨年は、隣の隣の人が死んだ
どんどん死んでく?
每日死んでく?
御悔み、申上げます、香でん、持つてきマシタ
何となく慣れないその言葉
チンと鳴らし線香上げてもいいかわからない
ああ恥づかしいナア
でもわざわざ、すいませんなんてイヘの人が言つてくれるのはありがたい氣がして
こつちも常識が無くてスンマセン、なんて應へる
出てきた道と歸つた道
紫の布を傍に置くと
ああ、昔ながらのウチつていいなあ、疊があつて、づくりで。ああ、あのばあさん、寫眞では元氣さうだつたのになあ元氣でない寫眞を飾るわけもなからう
なんて思つてる、今日の午後
あの人たちも、夕方には黑い服著て、ネクタイ締めて、故人のためにお集まりくださりありがたうございますなんて言つてるところを見ると、……黑服なんて陰氣クサイなんて思つてたけど、普段は普通の人なんだなあと、夢想する、夕時の臺所であつた