小節・一

書く事は魔法であり、うつとりとしてドレミを彈くやうに、それは意識的で無意識な、他意の遊戲なのだ。物を彈きながら考へ事をするやうに……私の考へは常に外に向つて弓を引いてゐるのであり、今も彼女の事で、頭がいつぱいなのだつた。