血管

出版して、それだけで生活ができたらいい、つて思つてゐる。そして薄々醜くは感じつつも、名聲、評價、崇拜を求めてゐる。安心の場所を、確乎たる位置を求めてゐる。それ自體は惡くないが、段々と何かが曇り、血氣盛んになつていくのは、云ふまでもない。他人に出版してもらひ、澤山の人に讀んでもらふには有名になる必要があり、そのためには權威にかしづく必要があり、作品には煽りが必要であり、何らかに師事し、學び、チャンスは物にしなければならない。さういふ信仰がある。妄信がある。中毒的な追及ゲームがある。