書翰集

たつた一人の女に宛てたお手紙も
たつた一人の無關係な女が讀みまして
自分に宛てられたやうにほつとする
思ふに これは
これは 人への愛
純粹な愛に求めるところ
萬人に求めるところ
なぜといふに
一番美しいと思ふものを あなたは愛しただらうから

ですから
たつた一人の無關係な女は
たつた一人の無關係な男の言葉に
沁み入るのです
愛を感ずるのです

愛が傳ふから ラヴレター
愛を傳へるから ラヴレター

君の言葉は
見事に私を
口說かれました